3月17日 コジ・ファン・トゥッテ

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[指揮]
ニコラ・ルイゾッティ
[演出]
ガブリエーレ・ラヴィア
[演奏]
ニコラ・ルイゾッティ (フォルテピアノ)
東京交響楽団
[出演]
セレーナ・ファルノッキア(S)、ニーノ・スルグラーゼ(M-s)、マルクス・ヴェルバ(Br)、フランチェスコ・デムーロ(T)、ダヴィニア・ロドリゲス(S)、エンツォ・カプアノ(Bs)、サントリーホール オペラ・アカデミー(合唱)
[感想]
ホール・オペラ」というのは聞き慣れないことばですが、サントリーホールが考案した独特の折衷的なオペラ公演形式です。基本的には演奏会形式の上演であり、オーケストラ、合唱と歌手はステージ上にいるのですが、歌手はドレスを着てメーキャップを施していますし、舞台装置や照明、演出などもちゃんと設えられています。
ホール・オペラは、1993年の「ラ・ボエーム」に始まってから、ほぼ年一作のペースで上演を続け、演し物も、ヴェルディやプッチーニのようなよく知られた作品だけでなく、タン・ドゥンに新作(「Tea」~茶経異聞~)を依嘱したこともありました。その公演は、DVDになっていますが、古典演目でも、レナート・ブルゾンが歌った「ナブッコ」のようにCD化された公演があります。
2008年からはモーツァルト&ダ・ポンテ三部作が一作ずつとりあげられ、まず「フィガロの結婚」、2009年の「ドン・ジョヴァンニ」に続いて、今年は「コジ・ファン・トゥッテ」ですが、これが三部作だけでなく、ホール・オペラの最終公演として18年も続いた歴史のフィナーレになるということです。
そんな実績のある公演なので、期待に胸を躍らせてステージ裏側のP席に座ったのですが、始まって最初に抱いた印象は「何とも残念」というものでした。
というのも、ステージにはオケと歌手が背中合わせに接近して載っていますが、P席からはオーケストラ越しに歌手の背中を見る格好になるせいで、大きな違和感が生まれます。視覚的な違和感は言わずもがな、音の方も、歌手とオケのタイミングにズレがあるように感じられて音楽の流れがちぐはぐになり、一体感も何もあったものではありません。それに加え、当然のことにオケの音量が勝ってしまうためバランスが悪く、そのオケの方も美しいホー ルトーンを味わう事が出来ません。
これは期待外れかな、第一幕が終わったら席を立って帰ろうと思ったのですが、時折、歌手がこちらに振り返って歌う時など随所に華やかな表情を垣間見せることがありました。特に、主役のフィオルディリージを歌うソプラノのセレーナ・ファルノッキアは魅力的に思えたので、その張りのあるリリック・ボイスをもっと堪能したいと、幕間に席の移動を申し出ました。
そういうわけで、第二幕からは、ステージを右手方向に見ることになるRB席で聴いたのですが、オケのサウンドが程良くほぐれ、歌手とのバランスもとれた演奏を聴くことができ、一安心いたしました。
前評判の高かったテノールのフランチェスコ・デムーロは、音楽院でクラシックのレッスンを受ける前は子供の頃から民謡グループの一員として歌っていたらしいのですが、そのせいか、発声が軽くポップス寄りな印象の声は肩透かしでした。
とはいえ、彼のキャリアはまだまだこれからでしょうから今後に期待するとして、この三部作プロダクションの常連であるセレーナさんを始め、他の歌い手はどれも見事な名唱でした。中でもバスのエンツォ・カプアノと、デスピーナを歌ったソプラノ、ダヴィニア・ロドリゲスは、安定した歌唱力と堂々とした演技で観客を魅了していました。注文をつけるとすれば、セレーナさんはベテランらしい風格が、このアンサンブルの中でフィオルディリージを歌うにはちょっと仇になっていたかもしれません。これは是非、彼女がムーティに認められてスカラ座に登場した頃の舞台も見てみたかったです。
第二幕と終幕は、総じてゆっくりと楽しむことができた、いい舞台でした。ただ、テンポが早いところでオケが乗りきらず、もたつき気味になるところがあったのは惜しかったですね。やはり、モーツァルトのオペラブッフォは、軽やかさを楽しみたいものです。
出演者の衣装もなかなかに素晴らしく、生地がベージュで統一されていたのは、コストダウンを図ったのかな?と思わせるところもありましたが、デザインが秀逸なので特に気になるほどではありません。むしろ、色彩の統一が舞台に一定の安定感をもたらしていて、そのセンスの良さに感心しました。


[評価]
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コンサート批評の「耳」

ARISTOCRATでは、コンサートを星ではなく、耳で格付けします。

『涙度』
万国共通の浪花節的、演歌的泣かせる演奏、演技の度合いを示します。
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 ホロット
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 ジーンと
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 堪えるのに苦労
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 泣かずにおれん
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 号泣

『鳥肌度・逆毛度』
所謂ゾクゾクする感動。総毛立つというと恐怖からくるネガティブなイメージがあるがそうではなく、背筋を走る衝撃的感動を示します。
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 鳥肌ぞくぞく
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 産毛が逆立つ
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 背筋に稲妻が!

『溜息度』
これも呆れた時のネガティブな溜息でなく「んーっ!素晴しい」と深く静かな、どちらかと言えば知的な感動を示します。
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 1 回
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 5 回
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 10 回以上

『ガッカリ度・シラケ度』
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 幕合いで帰る
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 幕合い待たず帰る
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 主催者にクレーム
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 料金払戻しを主張