"オペラ"の最近のブログ記事

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[指揮]
ステファノ・モンタナーリ

[演奏]
ベルガモ・ドニゼッティ劇場管弦楽団・合唱団

[独奏・独唱]
デジレ・ランカトーレ / ロベルト・イウリアーノ / 他

[曲目]
歌劇「愛の妙薬」

[感想]

今日は6歳になったばかりの二男にオペラを観せに東京文化会館へ連れて行きました。彼の記念すべきオペラ・デビューです。
途中で退屈して寝てはしまわないかと心配していたのですが、まったくの杞憂に終わりました。それどころか、かなり楽しみにしていたとみえて、出かける前から「どうしても早く行きたい、昼からドキドキしてたまらないんだ」と訴えるものですから、予定していた時間より20分も早く家を出ました。なので、上野には開場時間の4時半にならないうちに到着してしまい、入場口前はこの有様です。
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もっとも、予約した座席が若干離れていたので並びの席に替えてもらう交渉をするために、早く着く分には一向にかまわないという事情もありました。
席の変更を申し出る際、日本の興行主は非常に官僚的というか硬直的というか融通が利かないというか意地悪というか、すんなりとはいかないのが一般的なようです。あまり大きい声では言いませんが、じっさいのところジャパンアーツやサントリーホールの主催公演なんて、会員に対しても酷い扱いで、「こっちは年間幾ら払ってると思ってるんだ!」と言いたくなってしまうことが何度もあります。
それが今回はとても親切でスムーズな交渉をしていただきました。ほんとうにありがとうございます。
ベルガモ・ドニゼッティ劇場の公演に接するのは、彼らが初来日した2007年の1月以来ですが、正直なところその時の印象は全く記憶に残っていません。
今回の「愛の妙薬」では、ソリストの歌唱が聴きものでした。アディーナ役のデジレ・ランカトーレは、度々の来日でわが国でもお馴染みになったコロラトゥーラ・ソプラノで、声量こそ無いものの、32才とは思えない安定感のあるテクニックで楽しませてくれました。ネモリーノ役のロベルト・イウリアーノ は、ザルツブルグを始めとする多くのプロダクションで売り出し中のテノールですが、「人知れぬ涙」の出だしで多少外したものの、正にこれこそベルカントと言うべき美しい歌声を披露してくれました。
それだけに、惜しむらくはオーケストラの演奏でした。ドニゼッティの生地であるベルガモのオペラハウスにとって、「愛の妙薬」はまさに自家薬籠中の「おらたちの演し物」でしょう。ところが、曲のテンポが速くなるほど、伴奏が歌の出だしより遅れるのが目立ちます。合唱ではこの傾向がさらに顕著で、全体にチグハグに感じさせる結果をもたらしていました。もともと単調なところのある演目ですが、これではその単調さを払拭するに足るテンポ感の良さは得られず、ドラマが盛り上がりに欠けたのは大変残念でした。
結論としては、もう少し小さなホールで聴くに相応しいプロダクションという印象でした。
余談になりますが、隣席に座っていたイタリア人カップルは明らかに関係者で、どう見てもサクラでした。ただ、二人のサクラの贔屓程度には明らかな差があり、その場ごとの拍手喝采が随分偏っているのは見ていて面白いものでした。その時わが息子は、と目をやると、その外人特有の反応自体が珍しいのか、面白そうに彼らの仕草をじーっと見ていました。

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[指揮]
ダニエレ・ガッティ

[演奏]
ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団

[出演者]
ルネ・パーペ、ラモン・ヴァルガス、ダリボール・イェニス、アナトーリ・コチェルガ

[感想]
さすがに東京文化会館は、その成り立ちも佇まいも、9日に書いたようなオペラの「場」としてNHKホールよりは上質です。そのせいでしょうか。今日の演し物「ドン・カルロ」は9日よりはずっと安心して観ていることができました。
指揮者のガッティがいかにもイタリア人らしい、ああ、これぞヴェルディの音楽だと納得させる演奏で快調にオーケストラを鳴らしていたのも、「場」の力に預かったことかもしれません。
オペラというものは、器楽コンサート以上に肉体的な快感に訴えかける性質があると思います。必要なら、わたしはそれを下半身的な芸術と呼ぶのもやぶさかではありません。今日のガッティは、そうした事情をじゅうぶん以上に理解していたように思います。少なくとも、オーケストラにはイタリアオペラにふさわしい扇情的なドラマとエロスがありました。
ただ残念なことに、歌手の出来にはかなり問題がありました。少なくとも数人は、こんなはずではない。本来の調子ならもっと胸のすくような声を聞かせてくれるはずだ。そう思わざるをえませんでした。「ドン・カルロ」はシラーの原作だけあって、「アイーダ」のような祝祭的なスペクタクルよりも芝居-心理劇-の要素が強いだけに、歌手が弱くては劇のテンションが保てず、長丁場の舞台を持ちこたえるのにつらいものがあります。9日のアイーダのように、帰宅後レコードで精神の安定を取り戻さずにはいられないというほどではなかったのですが、感動マークは差し上げられません。
 
※この公演に関しては「東条碩夫さんのコンサート日記」もご参照ください。 

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[指揮]
ダニエル・バレンボイム

[演奏他]
ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団
ミラノ・スカラ座バレエ団、東京バレエ学校

[出演者]
カルロ・チーニ、アンナ・スミルノヴァ、マリア・ホセ・シーリ、スチュアート・ニール
ジョルジョ・ジュゼッピーニ、ホアン・ポンス、アントネッロ・チェロン、サエ・キュン・リム

[プリンシパル]
エミーリエ・ファイロー、エリス・ネッツァ

[ソリスト]
フラヴィア・ヴァッローネ

[感想]
オペラ公演の肝は、劇場の空間がどれくらいゴージャスであるかという処にあります。そのために、たとえ指揮者や歌手がいかによくてもそれだけでは不十分であり、舞台や衣裳が高い水準にあることも必要になりますし、願わくば歌手の皆様が美丈夫と美女揃いであることも求められるのです。
言い換えれば、視覚や聴覚をひっくるめた全体的な「場」のヴァリューをどれほどあたえてくれるかこそがオペラ公演の価値を決めるのであり、その意味で、今日の公演は、とどのつまりNHKホールというハコがどうやってもオペラ向きではないという一点に集約されるのかもしれません。
だから、バレンボイムのタクトもイタリア風のブリオが希薄で、第二幕までは金管が突出したバランスがどうにも気に障り、ホールの拡散的な響きと相まって散漫な印象しかあたえられないのも、原因ではなく単なる結果かもしれませんと思ってしまいます。(それでも第三幕以降は弦の響きに艶やかさも出て、「これでやっとオペラらしくなった」と感じられたのですが)
IMGP7642.JPGのサムネール画像いずれにせよ、帰ってからもどうにもモヤモヤが晴れません。こんなときは、すぐさまカラヤンとテバルディのデッカ盤「アイーダ」を引っ張り出すに限ります。うん。これですよ!ウィーン・フィルらしい弦と管の黄金のバランス。これでこそイタリア・オペラならではのしなやかな表現が可能になるというものです。
それに優秀な録音が錦上花をそえています。わがシステムとオリジナルのデッカ盤に栄光あれ。このゴージャスな音無くしては、今夜は欲求不満を抱えたまま悶々と眠れぬ夜を過ごす羽目になるところでした。



オリジナル盤の世界へようこそ

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コンサート批評の「耳」

ARISTOCRATでは、コンサートを星ではなく、耳で格付けします。

『涙度』
万国共通の浪花節的、演歌的泣かせる演奏、演技の度合いを示します。
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 ホロット
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 ジーンと
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 堪えるのに苦労
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 泣かずにおれん
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 号泣

『鳥肌度・逆毛度』
所謂ゾクゾクする感動。総毛立つというと恐怖からくるネガティブなイメージがあるがそうではなく、背筋を走る衝撃的感動を示します。
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 鳥肌ぞくぞく
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 産毛が逆立つ
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 背筋に稲妻が!

『溜息度』
これも呆れた時のネガティブな溜息でなく「んーっ!素晴しい」と深く静かな、どちらかと言えば知的な感動を示します。
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 1 回
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 5 回
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 10 回以上

『ガッカリ度・シラケ度』
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 幕合いで帰る
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 幕合い待たず帰る
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 主催者にクレーム
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 料金払戻しを主張